EPISODE 1   ミーコの愚痴


                      いやー、オレの一番の悩みはミーコの愚痴だな。
                      まーにいつも気持ちいいマッサージをしてもらってると、必ずミーコのネトー
                      とした愚痴が始まるんだ。
                      「ねえチロ、そんなにまーがいいの。チロはミーコがひろってきてあげたんだ
                      よ。おやつだってミーコがあげてるんだよ。ねえねえチロ、それなのにまーの
                      ほうがいいの」
                      あー、いつもこうだ。ミーコが、ミーコがってうるさいなぁ。
                      せっかくまーに気持ちよくマッサージをしてもらってるのに。
                      ミーコのこと嫌いじゃないけど、ぐちぐちうるさいんだよね。それにすぐにぎゅーっ
                      て抱いたりするんだよね。あれ、ほんとはすごーくいやなんだ。
                      それにさ、まーはリーダーだし、ミーコのマッサージより断然きもちいいんだもん。
                      ほんと、ぐちぐち言うのやめてくれないかなぁ。


EPISODE 2   ノエル


                      「ノエル」 そういやアイツ突然うちに来たな。ミーコが「チロ、仲良くしてあげてね。
                      妹だよ。」なんて言って、オレに何の相談もなく連れてきたんだった。
                      そういやあの頃のミーコはえらくオレにへこへこ気をつかってたな。
                      しかしノエルはオレに気をつかうどころか、がんがん突進してきた。コーギーとか
                      いう種類で牛追い犬で牛の足を噛んでたらしいけど、オレの足もカプカプ噛んでた。
                      オレは牛じゃないのになぁ。まあ、しっかり教育してやったけどな。
                      ミーコの奴、「チロが教育してくれるんで、ノエルの噛み癖もなくて助かるわぁ」なんて、
                      のん気なこと言ってるけどオレは毎日ヘトヘトなんだぞ。おやつぐらい多めにくれても
                      いいだろ。
                      それにノエルの奴、誰にでも撫でてもらおうとするんだ。散歩もそれだからなかなか
                      前に進まない。ノエルのことかわいいとか言って撫でる奴のなかには「そっちのワン
                      ちゃんはちょっとこわいわねぇ」とかいってオレを撫でようとしない奴がいる。
                      ふん、オレは誰にでも触らせるお安い奴じゃないから、おまえなんかに撫でさせないよ。
                      まあでも、おやつくれるんだったら撫でさせてやってもいいけどなぁ。 


EPISODE 3   親父


                      そうそう、散歩中に会う親父がいる。ここに引っ越してきて約3年。よく会う
                      親父がいる。奴もわんこを散歩させてるんだけど、こいつがオレの悩みの種。
                      奴はかなりの犬好きらしく、オレがシカトして通り過ぎようとしても「おー、久し
                      ぶりだねぇ。なんだぁ、挨拶ぐらいしてくれよぉ」と言ってオレを撫でようとする。
                      しかもこいつの撫でがくせもの。わっしわっし、ぐりぐりと撫でてくる。ムツゴロウ
                      さんもびっくりの撫でをしてくる。オレそういう撫でられ方いやなんだよね。だから
                      いやそーな顔して、ミーコの陰に隠れるんだ。そしたら「なんだぁ、今日も撫でさ
                      せてくれないんだ。冷たいなぁ」なんていってる。わかってないなぁ。親父。
                      そんな親父にもノエルはガンガン飛びついて、わっしわっし、ぐりぐりと撫でられてる。
                      よしよしノエル、オレをガードして撫でられとけ。